入園・進級おめでとう 

 木々の鮮やかな新緑が香り、ふきの葉っぱが背を伸ばし、いつもの年より早く季節がめぐってきました。

 新しく入園されたこども達、保護者の方、おめでとうございます

また、新たな気持ちで進級したこども達、保護者の皆様おめでとうございます。 

 進級して初めて皆で大ホールに集まった日4月4日(火)。

年長さんが座っていた場所に元のきくさんが、誇らしい顔をして座布団に座っていた。

ばらさん・ももさんも、当然のようにひとつ進級した場所に同じように誇らしい顔で座っていた。

保育者から「今日からここだよ」と言われてではないように見える。

どの顔も自分は大きくなって成長したということをわかっている顔だ。

給食の食器、料理運びも自分たちで大ホールまでやっている。

準備し食卓を整え自分で食べられる量をつぐ。

進級したら何をするのかどんな生活になるのか、ひとつ上のクラスを見続けてきた子たちにはわかっている。そして自覚している。

こうやってこどもは節目節目に鮮やかな成長を見せてくれる。

新しい年度の始まり、楽しみである。

 

入園から卒園までの乳幼児期の間、毎日こども達は野や山を駆け巡り季節を何回も繰り返し生活していく。

自然の営み、恵み、美しさ、楽しさ、不思議さに驚き目をみはり感動する。

地域の人たちに挨拶し、感謝し、この花や果物はよその家のもの、大切にされている農産物の事を知り、やってはいけない事を学び、社会のルール等も学んでいく。

園の周辺のすべての環境が人間となっていく為の根っこを育んでくれる土壌となり、これらの生活のすべてが学習の元になる。

 

なんでも言えて思い切り泣けて、怒って、わがままを言い、喧嘩しては仲直りし仲間の励ましや、やさしさを知り助け合う…。こんなこどもの自然な姿を温かく見守ってくれる大人がいる。そしてここが、自分たちが心地よく生活し安心できる居場所なんだと、どの子も思ってくれるように心を配っていきたいと思っています。

 

今年度も、ご家族の皆様と共に手をとり合って子育てをしていきましょう。

 

 2023年4月8日

 

認定こども園さくらんぼ 園長・職員一同



運動会に寄せて

 

澄み渡る様な、秋晴れの一日。

ばら、きく、ゆり組はみかんちぎりに南多久の畑 いやしの農園“風” に居た。

元学校の先生の森さんが呼んで下さって今年で4回目である。

1年目は1本3,000円でみかんの木のオーナーになった。

みかんの木を育てて下さっているのは理事長が住職を務めるお檀家さんの小柳さんである。

草取りをし、肥料をやり、農薬をなるべく使わず育てて下さっている。

広大なみかん畑に鈴なりに成るみかんをちぎるのは、高齢になられた

小柳さん御夫婦には大変な労働である。森さんの協力を得、オーナー制を始められた。

コンテナ8杯ぐらい頂くので、お礼をと持っていくが受け取られない。

それではと菓子折りを持参しても受けとって頂けない。

御両人とも、厳格にボランティアに徹しておられる。

今では賛同者も増え、いろいろなイベントも催されているようだ。

奥様もいつもやさしい笑顔で子ども達を迎えて下さる。

オーナー制は1年限りだったのに、3年たった今でも、木が小さくちぎりやすい所を保育園の子ども達にととっておいて下さる。

今年は3園(厳木さくらんぼ・佐賀さくら・さくらんぼ)で150人以上もお世話になった。

子どもが成長していくためには、まわりの大人の数々の支えが必要だけれど、今の時代に見返りなど考えもせず、子どもの喜ぶ顔が楽しみと、労働もお金も惜しまず提供して下さる。

感謝と共にいつも生き方を教えてもらっている。

子ども達にもそんな方々の思いが伝わったのか、幸せな顔で、お腹に10個くらい詰めこんでいた子も多かった。

満ち足りたお腹と心で、感謝しつつ歩いて帰る山道のわきに野菊の群生を見つけた子ども達の列から『遠い山から吹いてくる・・・』と「野菊」の歌がきこえてきた。

野菊は今から80年程前に作られた文部省唱歌である。

当時の文部省は子ども達にこんな美しい曲と格調高い歌詞の歌を教えて、美しい人間に育てようとしていたんだと思った。

花自体は野や山に自生し、決して派手ではなく楚々としているが歌詞のように精神性を感じられる花である。

80年たっても、今を生きている子ども達が、生き生きと歌う。

沢山ある歌の中からこれを選んで子どもに教えてくれたのは古い人間の私ではなく若い保育士である。

その感性を私はステキだなぁと思っている。

自然と共に生活している子たちは、歌から、絵本から、散歩から、植物採取から、虫採りから、本質のすべてをとり込み、丸ごと育っていく。

それを力に自分の根をおろし太らせていく。

環境も遺伝子もそれぞれみんなちがうが、自分で獲得した力の一部を身体で、心で、歌でみせてくれる運動会。

どうぞ懸命に生きている子たちに惜しみない声援をお願いします。

             2020/10/24

認定こども園さくらんぼ

園長・職員一同